Q14. 公益資本主義を実現するために改革すべき制度を教えて下さい。

A. 短期的な株主利益の追求を助長する税制、金融証券制度、会計基準、会社法、銀行法、商法といった現行の法律や商慣行を、中長期的利益の追求と新しい産業の育成に役立つ形に変える必要があります。

① 「会社の公器性」と「経営者の責任」の明確化
「企業、とりわけ上場企業は公器であること」「経営者と取締役会は、従業員、顧客、取引先、株主、地域社会、地球環境など、すべての社中に対して責任をもつこと」などをしっかり明文化する。

② 中長期株主の優遇
短期保有の株主によるマネーゲームを封じ込め、中長期的な経営を支援する株主だけを本来の株主として厚遇する。

③ 「にわか株主」の排除
会社の成長を誠実に願う株主が主役となる制度を創設し、世界中の中長期資金のニーズを満たすような世界初の市場を日本につくる。

④ 保有期間で税率を変える
株式売買の際のキャピタルゲイン課税の税率を保有期間によって変える。短期的投資に対する税率は重く、中長期になるほど軽減する。

⑤ ストックオプションの廃止
ストックオプションは、株式が非公開の間は、創業者が経営陣や従業員に株式を分け与えることで、「自分たちの会社だ」という意識をもってもらえるという大きな意味があるが、上場後のCEOや役員へのストックオプションは大口株主であるファンドに尽くす結果になってしまうので廃止する。

⑥ 新技術・新産業への投資の税制優遇
企業には、リスクキャピタルへの投資を会計上、「損金」に繰り入れすることを認める。これによって、節税につながり、業績好調で利益が上がっているときにリスクの高い投資を促すことができる。

⑦ 株主優遇の一部を従業員へのボーナス支給に
税引き後利益の168%を株主に回すなら、10%に当たる16.8%は従業員に還元する。といった規定をコーポレート・ガバナンス・コードに盛り込む。
社員や非正規従業員にとっては税金を引かれずにすむボーナスとなる。

⑧ ROEに代わる新たな企業価値基準「ROC」の提唱
ROEは「株主資本利益率」とも訳され、まさに「株主資本主義への企業の貢献度」を測る指標ですが、ROC(Return on Company)は「会社を支える社中全体への貢献度」を測る指標である。

⑨ 四半期決算の廃止
毎四半期ごとに業績を右肩上がりに継続することは不自然。アメリカの経営者は合法的捏造という数字の操作を行っている。会計上の都合が本業の在り方を歪めているとすれば、何のための決算なのか疑問である。

⑩ 社外取締役制度の改善
現状の社外取締役制度は、「株主利益を守る経営陣が合法的に利益相反するための制度」と化している。
社外取締役には、中長期的な視点による経営が行われているか、リスクのある新事業に果敢に挑戦しているか、社中全員に公正に分配が行われているかという「会社は社会の公器」という観点から企業経営を見極め、助言、協力することが求められる。

⑪ 時価会計原則と減損会計の見直し
人類や社会全体に貢献しうる革新的な研究開発への投資については、法人税を大幅に減免する制度等により、新技術に関する研究開発投資を促す。

⑫ 日本発の新しい経済指標
マネーを回してマネーを膨らませるだけの現在の金融システムをいくら活性化しても、付加価値は生まれず、実体経済を大きくすることはできない。いまこそ、GDP (国内総生産)やGNI(国民総所得)を補完する経済指標が必要です。現在、公益資本主義にふさわしい新しい指標づくりを研究している。