Q7. 株主資本主義にはどのような弊害がありますか。

A. アメリカは1980年代以降、株主資本主義の思想を自国で広め、さらに世界にも広めることでグローバル化を押し進めました。この結果、短期志向経営が助長され、収益化するのに時間のかかる製造業や流通業など実体経済を支える産業よりも、プライベート・エクイティなどお金を回すだけで利益の上がる投機的金融業が主役につくようになってきました。彼らが実体経済を支える産業の大株主となると、内部収益率(IRR)を競うので、短期志向は投機的経営へとつながります。
投機は必ずバブルをつくりバブルは必ず破裂します。毎年のように全米各地で起きるこのゼロサムゲームの過程で中間層は没落し、貧困層が増える一方で、一握りの超富裕層が生まれてきました。また、莫大な規模で投機を仕掛けるヘッジファンドと彼らに資金提供する超富裕層が途上国通貨を空売りし、暴落させ、その国民を貧困のどん底に落とすことによって巨万の富を得ています。
株主資本主義の結果、今後も富裕層への富の一極集中は加速する陰で、中間層から下に位置する人たちの収入は減り続け、格差社会を深刻化させるでしょう。民主主義が機能するための前提である中間層が失われた結果、世界にポピュリズムがはびこり、暗雲を広げています。
2017年1月のダボス会議に先駆けて格差問題に関してOXFAM(国際協力団体)は報告書「99%のための経済」の中で、世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36憶人に匹敵する資産を所有し、格差が不満を生み、不満は紛争の種となり、世界を不安定にすると指摘しました。

上位8人の資産=下位36億人の資産

2019年8月19日に、米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは「株主第一主義を見直し、従業員や取引先、地域社会、株主といった全ての利害関係者の利益に配慮し、長期的な企業価値向上に取り組む」と宣言しました。同団体は1997年に「経営陣と取締役会は、多様なステークホルダーの中で、株主に対して最大の義務を負う」ことを宣言していただけに、行き過ぎた株主資本主義に対しての深い反省を基に、公益資本主義の考え方を採用したものと考えます。