Q5. 公益資本主義での理想の企業像を教えてください。

A. 社中分配、中長期経営、企業家精神の3つの要素をバランスよく追及しながら発展していく企業が理想的です。
たとえば、会社を立ち上げた場合、創業期は苦労はつきものですが、力を合わせて困難を乗り越えたメンバーには利害を超えた関係が生まれます。「ギブ&ギブ」の精神が「温かい社風」を作ります。誰かが病気になっても辞めてもらおうなどと考えず、残りの元気なメンバーが、よりいっそう頑張って、少しは低くなるかも知れませんが、給料を従来通り払おうとするはずです。これが「顔の見える経営」です。
高い結束力と高い理想と情熱が原動力となり、創造性と幸福感と柔軟性に富んだ経営を実行できます。
これらの特徴を兼ね備えた会社は、多くの場合、大企業より中小企業です。会社が小さいときは、従業員がリーダーの掲げる理念やビジョンを共有でき、一丸となって目標を達成しようという熱意が生まれます。従業員にも、「自分の会社だ」という意識が強く、利益の多寡に関わらず幸福感を得られます。
ところが組織が大きくなると、経営陣と従業員、従業員同士が互いに「顔の見えない関係」になります。こうなると、組織から情熱が失われ、なるべく働かずに給料はたくさんもらいたい」という意識が高まります。経営側も経費を削ることばかり考えるようになります。結果として組織の結束は弱まります。
この時必要なのは、経営陣と従業員、そして従業員同士を繋ぐためのルールです。その要諦は不公正感をなくすこと、従業員の不満や士気の低下は給料の多寡よりも、不公正感を感じるところから生まれてくるからです。
中小企業と同じ組織の状態や意識を、大企業の中にどうやって作るか。公益資本主義はそのための指針でもあるのです。