Q2. 公益資本主義が提唱されたきっかけを教えてください。

A. 会長の原は、1980年代から米国、英国、イスラエルで事業を行うとともに、世界のさまざまな国の企業とビジネスを行ってきました。先端技術の会社をゼロから創り、社員数が数百人、数千人、1万人超の会社へと育ててきました。事業活動を通じて、次第に、会社の内部留保を吐き出させ、会社を切り売りする、現在の市場万能主義や株主資本主義というものに大きな疑問を感じるようになり、違ったかたちの資本主義を実現できるのではないかと考えるようになりました。日本の資本主義の独特の歩みとその貴重さを実感するようになったのは、海外でビジネスを行ってからであり、日本人がなんとなく当たり前だと思っていたことが、海外では当たり前ではないどころか、稀有であることに気付いたということです。
公益資本主義は、経済よりも倫理を優先するわけではありません。むしろ株主資本主義よりも経済的に優れているのです。企業の持続的成長を喚起する公益資本主義の方が、長い目でみればはるかに儲かる。企業が儲かれば、株主も儲かり、経済の合理性に適っています。
資本主義の原点である社中を重んじる経営に立ち戻り、これをさらに高めて日本発の「新しい資本主義」として「公益資本主義」を世界に広めていくべきなのです。昔から日本では、「売り手よし、買い手よし、世間よし」のいわゆる「三方よし」を重んじてきました。売り手である自分、買い手である客はもちろん、世の中にも貢献できてこそ、初めて「良い商売だ」というわけです。裏返せば、どれか一つでも欠けたら良い商売ではない。元は江戸時代の近江商人の心得ですから、「ウィン・ウィン(win-win)」という言葉が用いられる遥か以前から、日本人はこの理念を唱えてきたわけです。
英米型の資本主義が格差拡大で行き詰る中、相対的に安定した雇用と厚い中間所得層を維持しているのは世界で日本だけです。21世紀の日本の使命は、公益資本主義を体現して世界のモデル国家になることだと考えられます。